お化粧。





高校卒業後、進路の違う深悠と奈津実、ひさびさの再会。



「やー、久々よね喫茶店でおしゃべりなんて。ど? もう一人暮し、慣れた?」

「うん、慣れたよ。…お母さんってすごかったんだなーって毎日思うけど」

「やはは、そりゃそうよね。アタシ未だに同居だからねー、そっち関連は頼りっぱなしだけどさ」

「へへ。ねえねえ、さっきから思ってたんだけどね、そのグロスきれいだねー」

「あ、これ?」

「うん、すごく似合ってる。いいなあ」

「ん、ありがとねーv バイトしてるとこの新商品でさ、すぐ売りきれちゃうんだけど、働いてるよしみで先に分けてもらったってワケ。役得よね。なんなら横流ししよっか?」

「え、いいの?」

「おう、奈津実ちゃんにまかせなさい!」

「わーいありがとうvv(抱きつき)」

「いやいや。…って、でもアンタ今日あんまり化粧してきてないよね。薄い薄い。去年のクリスマスパーティーのときつけてた色とか似合ってたのにさ。…切らしちゃって買ってないとか?」

「あー…いや、お化粧品は人並みに持ってるよ」

「じゃ、なんで? もう高校出たんだし、普段から化粧してたってとやかく言う人いないでしょ?」

「……うん。そう思って、大学行き初めの頃はお化粧して行ってたんだけどね…」

「めんどくさくなった?」

「うーん…そう言っちゃっていいのかなあ………」

「何よ、はっきりしないわね」

「……珪くんがね」

「ん、葉月?」

「珪くんが……
気が向くといつでもどこでもキスしてきて……」

「はあ」

「…
しかも口だけじゃなくておでことかほっぺたとかこめかみとか最近とにかく予想がつかなくて…」

「……」

「あんまり回数多いもんだから、お化粧崩れるからダメって言ったの」

「まあそりゃそうよね。で?」

「……そしたらね」

「うん」

「…………………………
そしたら顔中なめられた……(真っ赤)」

「……アンタ、それ…(絶句)」

「…お化粧食べさせてるみたいな気分になっちゃって……それ以来、どうにも落ちつかなくてね。必要最低限にすることにしたんだあ…(苦笑)」

「……うっわあ…」

「ねえ奈津実…なんか対策ないかなあ……(すがるような目)」

「……うーん。まあ、それはそれでいいんじゃないの? がんばれ!(親指ぐっ)」

「そ、そんなあ……(涙目)」













終わりやがれ。


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…馬鹿か。
王子、すごすぎ(爆笑)
まあ深悠たちは若いですし。化粧は最低限でも可愛らしいことでしょう。うらやましい。
キスとかしなくても何か食べたら口紅落ちるし、ちょっとかゆいとこかいたらファンデこそげ落ちるし、…めんどいよねえ…しょうがないとは思いますが。